第25章 あなたはすごすぎる

「……霧子……」

黒崎逸臣はかすれた声で呟き、テーブルに手をついて立ち上がった。身体はぐらりと揺れ、今にも倒れそうだ。

水野菜々美が慌てて腕に手を伸ばす。ほとんど身体ごと押しつける勢いで、甘ったるい声を絡めた。

「逸臣、酔いすぎよ。ほら、私が支えるから」

黒崎逸臣は眉間を深く寄せ、肘に絡みつくその手を見下ろした。

汚れたものに触れられたみたいに、乱暴に振り払う。

「……っ!」

不意打ちの力に、水野菜々美はよろめいて、ソファへ尻もちをついた。

「近寄るな」

「お前誰だ。触るな」

嗄れた声には、隠す気もない嫌悪が滲んでいた。

倒れた水野菜々美には目もくれず、ふらつく足取りで...

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