第35章 夏目霧子の引っ越し

水野誠は、パソコンの画面に並ぶ「出資見送りのご連絡」のメールをにらみつけた。黒崎逸臣が冗談ではないと確信した瞬間、全身から力が抜け、執務椅子にずるりと沈む。

――終わった。

黒崎グループの資金が切れたら、こんな薄っぺらい子会社なんて、3日も持たない。

他の投資家に片っ端から電話をかけ、いざ口を開こうとしたその時、受話器の向こうで冷たく言われた。

「水野社長、今回は見送りで。……黒崎社長に何をしたのか知りませんが、あの方が言ってましてね。あなたに出資する人間は、黒崎と敵対するのと同じだって」

その言葉を聞いた途端、水野誠の額から冷や汗がつうっと落ちた。

まさか、黒崎逸臣がここまでや...

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