第37章 恋敵は死んだ人だ

黒崎逸臣は、夏目霧子の目の前にある、底が見えはじめたラーメンのどんぶりをじっと見つめ、口の端に冷たい笑みを浮かべた。

「お前の林田さんとやらは、こんなボロい店に連れて来るのか」

まとわりつくような冷気。近寄るなと言わんばかりの気配。言葉も容赦がない。

「黒崎家は、お前に飯も食わせられないとでも? こんなもん食わせて」

夏目霧子はわずかに眉をひそめ、箸を置く。紙ナプキンで口元を押さえた。

「林田さんは、もう亡くなった」

声は軽い。波も起伏もない。

黒崎逸臣の喉元まで出かかった嘲りが、そこでぴたりと引っかかった。

数秒、固まる。眉間が深く寄る。

「……何だと? 死んだ?」

夏...

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