第38章 水野菜々美が罠を張って主導権を示す

扉が閉まった、その瞬間。夏目霧子の胸は、底まで冷え切った。

それから三日間、黒崎逸臣は一度も姿を見せない。

電話もない。メッセージもない。まるで、彼という存在だけが彼女の世界から蒸発したみたいに。

夏目霧子は泊まっていたスイートを引き払い、借りている小さな部屋へ戻った。

頬の腫れはほとんど引き、うっすらとした痕が残るだけ。コンシーラーで隠して薄化粧を整え、バッグを手に会社へ向かう。

ここ数日、水野菜々美も不在で、デザイン部は珍しく静かだった。

夏目霧子は自分の席に座り、新しいイラストに没頭する。

だが、その静けさは長く続かなかった。

三日目の午後。

デザイン部の扉が、ばっと...

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