第42章 離婚に同意する

退勤時間。デザイン部のデスクは、もう半分以上が空になっていた。

夏目霧子がバッグをまとめ終えたところで、スマホがぶるっと震える。

画面に跳ねたのは、黒崎逸臣からのメッセージだった。

「今日は家に帰ってこい」

霧子はその文字を睨み、指をキーボードの上で止めたまま返す。

「離婚、同意したの?」

返事はやけに早い。

「帰ってくれば分かる」

霧子はスマホをしまい、会社ビルを出た。

――

家に着き、ドアを開ける。玄関は灯りが落ちたまま、しんと暗い。

スリッパに履き替えて奥へ進むと、ダイニングだけがぼんやり明るかった。

床に伸びる、長い光の帯。

長テーブルには暗い織り柄のテーブ...

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