第47章 検査報告書が差し止められる

夏目霧子は指先をわずかに動かした。鼻腔いっぱいに消毒液の匂いが満ちていて、眉間に皺が寄る。

重いまぶたをこじ開けると、滲んでいた視界がゆっくり輪郭を取り戻した。

ベッド脇に、ひとり。

黒崎逸臣。

シャツの襟元はだらしなく開き、顎には青い無精ひげ。どこか投げやりで、疲れがそのまま形になったような顔をしている。

彼は点滴の滴をじっと見つめていたが、わずかな気配に気づくと、身体をぐっと乗り出し、霧子の手を押さえた。

「動くな。まだ点滴中だ」

しゃがれた声。掠れて、ひどく乾いている。

夏目霧子は呆けたように瞬きをした。

こんな黒崎逸臣は見たことがない。いつも冷え切っているはずの瞳に...

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