第60章 ただの小悪魔女だ

夏目霧子が翌朝目を覚ましたとき、全身がトラックに轢かれでもしたみたいに重かった。

昨夜、黒崎逸臣に遅くまで散々弄ばれて――いまも身体のあちこちがじくじく痛む。

枕元には、彼の置き手紙があった。

今日は会社に休みを入れておいた、出勤しなくていい――そんな内容。

夏目霧子は一日中ベッドから起き上がれず、夕方になってようやく少しだけ回復した気がした。

夜。

菅田由実が「飲みに行こう」と誘ってきた。

指定されたバーへ向かうと、由実はすでにボックス席で待っていた。

彼女は温い水のグラスを差し出してくる。

「はい、霧子の。……顔色、あんまり良くないけど?」

夏目霧子はソファのクッショ...

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