第10章 江崎泉が解雇される

凌楽悠は落ち着き払って座っている。一分、また一分と時間が過ぎるにつれ、江崎泉の顔には汗が滲み出てきた。

今夜の出来事は、大きいと言えば大きく、小さいと言えば小さい。理屈で言えば、商序は彼女の方を信じるはずだ。何しろ、知り合ってからの時間もそれなりに経っているし、自分は彼の後輩でもあるのだから。ただ……江崎泉は凌楽悠に目をやった。この女は口が達者すぎて、自分ではまったく言い負かせない。

それに、商若霊の気性も読み切れない。万が一、商若霊がすべての濡れ衣を自分に着せたらどうしよう?

田中執事はすでにメイドに命じて商若霊を風呂に連れて行かせた。先ほど商序から帰宅途中だと連絡があったから、...

ログインして続きを読む