第102章 痛みのない母親体験

綾瀬悠希は祖母の様子を窺おうとしたが、部屋の入り口で足を止めた。ちょうど高田おばさんが涙を拭いながら出てくるところだったからだ。不意のことに、心臓が早鐘を打つ。

「高田おばさん、おばあ様になにかあったの?」

「お嬢様、お帰りなさいませ。大奥様は先ほどお休みになられました。お話はまた明日に」

「そう……」綾瀬悠希は小さく息を吐き出した。「高田おばさん、昨晩は嫌な思いをさせてごめんなさい。あなたが盗ったわけじゃないって、私たちは分かってるから。気にしないで」

高田おばさんは頷いた。

「私は大丈夫です、お嬢様こそ心配なさらないで。ただ、大奥様が不憫で……。本来なら穏やかな余生を過ごされるべき...

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