第107章 彼女の目つきがおかしい

 その言葉を聞いた藤堂譲が顔を上げ、綾瀬悠希と視線がぶつかる。悠希はどこか居心地の悪さを感じながらも、軽く会釈をして挨拶を返した。

「綾瀬先生」

 譲も短く頷く。

 二人の間に、何とも言えない気まずい空気が流れた。悠希はぎこちなく微笑むと、場を持たせるために口を開く。

「藤堂さん、若葉ちゃんが泳ぎたいそうなのですが、もしお忙しくなければお願いできますか?」

「やだやだ!」

 若葉が唇を尖らせて駄々をこねる。

「綾瀬先生も一緒じゃなきゃやだ! 大勢のほうが楽しいもん!」

「でも、先生は泳げないのよ。パパと一緒に行ってらっしゃい。プールサイドで見ているから、ね?」

 若葉は...

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