第111章 今日の主役は彼女であるはずだ

「ところで、身内だけの食事と聞いていたけれど、どうして綾瀬さんまで連れてきたの?」

 藤堂家の大奥様は、不思議そうに尋ねた。

 今日の桜井恵那が綾瀬悠希を見る目つきは、どこかおかしい。それも無理はないだろう。容姿端麗で気品あふれる二人が並んでいれば、よからぬ憶測を呼ぶのも無理からぬことだ。

「若葉が、綾瀬さんと一緒に夕食を食べたいと言い出したものでね。それに、母さんだって桜井さんを呼んだじゃないですか」

「桜井さんは私の客よ」

「綾瀬さんも、俺と若葉の大事な客だ」

 藤堂譲にそう返されては、大奥様も反論できない。

「……まあいい、食事にしましょう」

 ダイニングへ移動すると、綾瀬悠希...

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