第160章 他人に得をさせるな

二階に上がると、楠本南は感激した面持ちで言った。

「ありがとう、悠希ちゃん。でも、あんなに言わなくてもよかったのに。あの人たちを連れて行きたくないのは本当だし、どうしようもないわ」

「馬鹿ね。少しはあの楠本美雲を見習ったら? お父様の前でもっと愛想よく振る舞うのよ」

「どうして私が?」

 楠本南は不満げに言った。

「本当に馬鹿正直なんだから。あの親子が何のために転がり込んできたと思ってるの? 楠本家の財産狙いに決まってるじゃない。みすみす家を乗っ取られてもいいわけ?」

 楠本南はぷいと顔を背ける。

「財産なんて興味ないわ!」

「そうね、あなたはもうすぐ松坂成一に嫁いで、松坂家の若奥様...

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