第166章 本当にお前のせいで酷い目に遭った

綾瀬悠希は悟った。彼は、こちらの正体がただ者ではないと確信したのだと。

 だが、今夜の件を調べられたところで、綾瀬悠希には痛くも痒くもない。仇敵が彼女を拉致するのに、これほど手ぬるい三下を寄越すはずがないからだ。

 十中八九、南都市の誰かが彼女に灸を据えようとしただけだろう。

 だから藤堂譲がどれほど調査したところで、彼女の核心に触れる事実は何ひとつ出てこない。

 そこで綾瀬悠希は、さらりと答えた。

「気にするわけないじゃないですか。むしろ、あんな状況から救い出していただいて、感謝の言葉もないくらいです」

「ああ。安心しろ、きっちり裏は取っておく」

「ありがとうございます。とこ...

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