第185章 まさか幽霊?

運転手は訝しげに車を路肩に寄せた。藤堂譲の真意が測りかねる様子だ。

「入れ」

 藤堂譲はマンションの地下駐車場入り口を指差して命じた。

「はい」

 運転手はハンドルを切り、車を地下へと滑り込ませる。

 同乗していた佐藤補佐もまた、後部座席の藤堂譲を振り返った。

「藤堂社長、こちらへはどのようなご用件で」

 彼の記憶にある限り、このマンションに住む顧客や協力会社の人間はいないはずだ。

「……友人を訪ねる。最近こちらへ越してきたばかりでな」

「左様ですか。では、私もお供を?」

「不要だ」

 藤堂譲は窓外へと視線を逃がした。

 先ほど、綾瀬悠希が出勤していく姿を見かけたのだ。ふと、彼...

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