第186章 この件は東都にまで伝わった

運転手と佐藤補佐は顔を見合わせ、互いの目に浮かぶ困惑を読み取った。

 車に乗り込むと、佐藤補佐はたまらず後部座席の藤堂譲を振り返った。一体何があってこれほど狼狽しているのか、気になって仕方がないのだ。

「さっさと出せ」

 藤堂譲が苛立ちを露わに命じる。

「ただいま」

 運転手は慌ててシートベルトを締め、あわただしく始動操作を行う。——だが、エンジンは沈黙したままだ。

 背筋を冷たいものが伝う。昨日は点検に出したばかりだぞ? なんで急に故障するんだ、科学的におかしいだろ?

 何度か試してみるが、やはりエンジンはかからない。

 運転手はパニックに陥り、震える声で告げた。

「と、藤堂社長...

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