第188章 なぜ嘘をつくのか

「は、はい……」

 藤堂社長の冷ややかな視線に射抜かれ、佐藤補佐は背筋が凍るような思いで慌てて脇へ退いた。

「行くぞ、悠希」

 藤堂譲が短く声をかける。

「はい」

 綾瀬悠希は頷くと、楠本南の方を振り返った。

「南、気をつけて帰ってね。無理そうなら代行を呼ぶこと。強がっちゃ駄目よ」

「平気平気。あんたこそ、早く仕事に行きなよ」

 二人が去っていく背中を見送りながら、楠本南は思わず溜め息をついた。

「あんなにお似合いなのに、縁がないっていうか……人生ってままならないわね」

 車に乗り込んだ綾瀬悠希は、藤堂譲が自分の新車に何の反応も示さないのを見て、たまらず問いかけた。

「ね...

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