第192章 人間だと判別できる

昨晩は夜更かしをしたものの、綾瀬悠希は翌日も定刻通りに出社した。

現在、メンタルヘルスケア部には彼女の他に三名の職員が新規採用されている。

部署の規定策定や、スタッフへのカウンセリング指導方針の決定など、日々の業務は多忙を極めていた。

だが、これさえ乗り切れば楽になるはずだ。

十時半を回った頃、執務室のドアがノックされた。

「どうぞ」

悠希はパソコンの画面から視線を外さず、入室を促した。

部下が報告に来たのだろうと思っていたが、一向に足音が聞こえない。不審に思って振り返ると――。

「藤堂社長!」

悠希は慌てて立ち上がった。

「どうして黙っていらっしゃるんですか。てっきり……」

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