第200章 出自は高貴ではない

「詩織、どうしてこんなことをしたんだ?」

 妹を前にして、松坂成一の声色は幾分か和らいでいた。

 松坂詩織は成一の腕にすり寄るように絡みつくと、悪びれもせずへらりと笑う。

「怒らないでよ、兄さん。すっごく大切なお友達が兄さんの結婚式に来てくれることになったの。だから悠希さんの部屋、その子に使ってもらうことにしたわ。あとで紹介するね」

 楠本南は不満げに、小さな声で呟いた。

「悠希ちゃんだって、私にとっては大切なお友達……それに、唯一のブライズメイドなのよ。どうして他の人に変えてくれないの?」

「義姉さん」

 詩織は鼻で笑い、軽蔑の眼差しを向ける。

「私のそのお友達、すごい大物なのよ。今...

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