第27章 紙の虎

凌楽悠の病は来た時も早ければ、去る時も早かった。その日の夜には医師から退院を許され、商若霊の授業に遅れが出ないよう、翌日にはマスクをつけて彼女のレッスンへと向かった。

今日の商若霊はひどく落ち込んでいる様子だったので、凌楽悠は授業を中断し、その理由を尋ねてみた。

「若霊ちゃん、今日はどうして元気がないの? 幼稚園で何かあった?」

「今日は参観日だったの。ほかの子はみんなパパとママが一緒なのに、あたしだけ誰もいない。パパもママもいないの」

凌楽悠はしゃがみ込み、彼女の頭を撫でた。「若霊ちゃんがほかの子にパパとママがいて羨ましいって思っているとき、ほかの子も若霊ちゃんにすごいパパがいて...

ログインして続きを読む