第51章 あなたが行かないなら誰が行く

湖畔でしばらく遊んだ後、彼らは帰路についた。凌乐悠は商若灵をピアノ室へ連れて行きレッスンを始め、商序は書斎に戻って仕事に取り掛かった。

数分も経たないうちに、商家の御隠居様から電話がかかってきた。

「譲ちゃん、今夜は時間あるかい?」

「お祖母様、何か御用ですか?」

「何か御用ですって? 昨夜、私と何を約束したか覚えているのかい? 桜井さんと会うって約束したじゃないか。まさか、もう忘れたわけじゃないだろうね?」

商序はこめかみを揉んだ。「忘れていません。でしたら今夜十時半で。場所はお祖母様が決めてください。決まったら教えていただければ結構です」

「そんなに遅く?」商家の御隠居様は少し...

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