第72章 彼を寝かせた

数分踊っていると、露出度の高い服を着た女の子がダニエルに寄り添って踊り始め、綾瀬悠希は急いで場所を譲った。

酒が回り始め、頭がふらふらする。それ以上に、トイレに行きたくなってきた。

洗面所へ向かう道中には長い廊下があり、足を踏み入れると、耳をつんざくような音楽が次第に遠のいていく。綾瀬悠希はズキズキと痛む頭を揉みながら、ふらつく足取りで前へ進んだ。

突然、柔らかな壁にぶつかったような感触がした。

「すみません」と彼女は呟き、脇をすり抜けようとする。

だが、二歩ほど歩いたところで強い力に引き戻された。手首を固く掴まれ、背中が壁に叩きつけられる。

綾瀬悠希は痛みに顔をしかめ、...

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