第11章 彼女の心にはまだ彼がいる?

深沢承弦の指先が、わずかに強張った。

彼は書類を一枚ずつめくっていく――加入申請書、ポートフォリオの提出要項、ビザ申請に必要な書類一覧。

最後の一枚は、指導教官の自筆による推薦状だった。署名の脇には、こうある。

SHでの活躍を期待している。

SH。

片桐景真が、SHのアジア地区社長だということを、彼は覚えていた。

ふいに脳裏へよみがえったのは、あの日の病室での光景だ。末永言葉が片桐景真の前に立ち、かばうように彼を守っていた姿。

深沢承弦は椅子の背にもたれ、そっと目を閉じた。

彼女は行ってしまう。

片桐景真と一緒に。

海外へ。SHへ。自分の手の届かない場所へ。

胸の奥に、...

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