第26章 きっとあの女の仕業だ

「誰がてめぇらを寄こした?」

男は答えず、ただひらりと手を振った。

数人が一斉に距離を詰めてくる。

林田咲子が悲鳴を上げた。末永言葉は咄嗟に咲子の腕を引き、転げるように前へ走り出す。

狭い路地を二人で疾走する。足元の小石がガリッと弾け、パラパラと四方へ飛び散った。

末永言葉は林田咲子の手首をきつく握り締めた。手のひらは汗でぐっしょりだ。咲子が震えているのが伝わってくる。それでも、言葉は絶対に離さない。

背後から罵声が追いすがり、咲子の足取りはふらふらと乱れる。耳の中にあるのは自分の荒い息づかいだけ。

止まれない。止まったら、言葉の足を引っ張る。

路地を抜け、二人は人混みへ飛び...

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