第29章 納得できる返事は用意する

翌朝早く、深沢承弦は温水家のリビングに立っていた。

温水真雲はソファに腰を下ろし、部屋着のまま、ゆるくまとめた髪を肩に垂らしている。顔色は悪く、目の縁は赤い。伏せられたまつ毛の先には、今にもこぼれそうな涙の名残が光っていた。

その隣には温水夫人。娘の手を握りしめ、どこか張りつめた面持ちをしている。

深沢承弦は真雲を見つめ、それから彼女の背後でうつむいている女へと目をやった。

「俺が来たのは、一つだけ確かめるためだ」

温水夫人は娘の手の甲をそっと撫で、それから深沢承弦を見上げた。続きを促すように。

深沢承弦の視線は彼女を越え、まっすぐ温水真雲の顔に落ちる。

「言葉が襲われかけた件...

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