第245章 宮本さんはもう目覚めた

福田祐衣はスマホを看護師に返し、ひとつ深く息を吸い込むと、静かで揺るがない眼差しを向けた。

「……退院させてください」

「手続き、お願いします」

看護師は、その瞳の奥に宿るほとんど執念めいた決意を見て、言いかけた言葉をのみ込む。結局、黙って小さく頷いた。

患者の意思を、これ以上何度も押し潰すわけにはいかなかった。

半時間後、福田祐衣は足早に病院を出て、道路わきでタクシーを止めると、ためらいなく宮本家の住所を告げた。

運転手はルームミラー越しに後部座席を覗き込む。顔色は紙のように白く、華奢な体は一陣の風にも倒れてしまいそうだ。思わずひと言、声をかける。

「お客さん、大丈夫ですか?...

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