第254章 他人に利用される

田村竜大のオフィスに、人影がひらりと現れた。

「竜大、なに~? 今ちょうどフェイシャルやってもらってたのに……」

ぶつぶつ文句を言いながら入ってきたのは田村彩夏だ。ぱっと顔を上げた瞬間、オフィス全体がふわっと明るくなったようにさえ見える。

たおやかに流れるような肢体、艶やかな色香を帯びた顔立ち。妖艶なメイクに、浅い金色のロングヘアはふんわりと巻かれて肩にかかり、歩くたびにふわり、ふわりと揺れる。頭の先からつま先まで「手をかけて磨き上げました」と言わんばかりの成金めいた華やかさだ。

――が、その華やかさも、田村竜大の酷く険しい顔を目にした瞬間、霧散した。

土気色を通り越して、歪みかけ...

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