第272章 彼が人を殺した?

「パーン」という甲高い音とともに、内田由香の手からスマホが弾き飛ばされた。

彼女の手の甲も井上颯人にまともに叩かれ、赤く腫れ上がっている。

「井上颯人!」

内田由香は突然の強い力によろめき、あわや転倒しそうになった。我に返った彼女の胸に、さらに傲慢な怒りが燃え上がる。

「あんた、死にたいの!」

生まれてこの方、こんな扱いを受けたことなど一度もない。内田由香は考えるより先に腕を振り上げ、井上颯人の頬を思い切り張り飛ばした。

「パァン!」

乾いた破裂音が部屋中に響き渡る。耳をつんざくほど鮮明な音だった。

井上颯人の顔は横に弾き飛ばされ、耳の奥で耳鳴りがガンガンと鳴り響いた。頬は途...

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