第25話

里香の視点

レースが終わり、スタンドの観客が散り始めた。

これ以上見届ける気にもなれず、きびすを返してその場を離れようとした。

「里香、待って!」

足が止まる。すぐには振り返らなかった。

誰の声かは分かっている。ゆっくりと向き直った私の顔には、何の感情も浮かんでいないはずだ。

寧々がトロフィーを抱え、片手で蓮を引いて小走りで追いかけてきた。前髪にはうっすらと汗がにじみ、その瞳は異様なほど輝いている。全身が、勝者だけが放つ眩い光に包まれていた。

彼女に手を引かれた蓮は、もう片方の手で優勝記念のグッズをきつく握りしめ、小さな顔を興奮で真っ赤に染めている。

「里香もレース見に来てた...

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