第33話

和也の視点

サミット開会式の照明は明るく、壇上の治夫をいっそう精悍に見せていた。

俺は最前列に座り、表向きはスピーチに耳を傾けながらも、頭の中では別のことを考えていた。――九条グループの最近の動きと、その中で里香が果たしている役割についてだ。

壇上では、治夫のスピーチが終盤に差し掛かり、ふいにその語調が変わった。

「これからのブレイクスルーには、ひらめきだけでなく、孤独に耐え、地道に歩みを進められる多くの研究者が必要です。今回のサミットで、そうした頼もしい若手たちの姿を見られたことを、大変嬉しく思います」

彼の視線が、ホールのどこかで一瞬だけ止まった。

「たとえば、白石博士とその...

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