第34話

和也の視点

司が里香を連れ去るのを見つめながら、胸の奥で得体の知れない苛立ちが再び込み上げてきた。さっきよりもずっと激しく。

やはり、いつもの手か。

転んで、助けられる――見事なまでの連携プレイだ。

俺は立ち尽くしたまま、彼が彼女を庇うように人混みを抜けていくのを冷ややかな目で見送った。視線はどこまでも暗く沈んでいる。

寧々がそっと俺の袖を引いた。

「和也、里香は大丈夫かな? 九条さん、本当に彼女に優しいね……」

俺は視線を戻し、淡々と言い放った。

「あいつが自分で選んだ道だ。自分で責任を取ればいい」

そう言い残し、背を向けて別の方向へ歩き出すと、寧々も小走りでついてきた。...

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