第140章

三人称視点

 病室の空気が、一瞬にして凍りついたようだった。

 あれだ。

 高木文弘の瞳孔が急激に収縮し、無意識のうちに指が固く握り込まれた。

 だが、彼はその場で爆発しそうになる衝動をどうにか押さえ込んだ。

 高木文弘の視線は里奈の手首に一秒にも満たない時間だけ留まり、すぐさま自然に逸らされた。

 まるで何も見ていなかったかのように。

「誰だ」

 高木文弘はわざと何気ないふりをして尋ねた。

「以前は見かけなかったが」

 ゴミを片付けていた里奈は身体を強張らせ、さらに深く頭をうなだれた。恐れ多くて高木文弘の顔など到底見られない。

 一方、南川茜はきょとんとした。

 いつも冷...

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