第31章

高木愛美視点

 丸山大翔の車のスピードは凄まじかった。幾度となく前に出て高木文弘の車を止めようと試みたが、そのたびにボディガードの車が体当たりで強引に弾き返した。

 金属が擦れ合う鈍い音が、雨の夜にひどく耳障りに響き渡る。

「しっかり掴まってろ」

 高木文弘は私を一瞥もせず、ステアリングを左へ思い切り切り裂くように回した。

 車体が激しく傾き、水溜まりを蹴立てるタイヤが鋭い悲鳴を上げる。

 車列は目立たない私道へと折れ、そのままスワンレイク・アパートメントへと直行した。

 そこは高木文弘が所有する物件の中で、最もセキュリティレベルの高いマンションだ。

 車列が地下の駐車場へ滑り込...

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