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伊藤香織から連絡があった。さくらは坂本天宇によって彼女の元へ預けられたらしい。坂本天宇は多くを語らず、ただ急用で出かけること、そして私に直接伝える時間がないから代わりに伝えてほしいとだけ言い残したそうだ。私には、彼を待っていてほしい、と。

また待たされるのか。前回は待った末に加賀先生が来てくれて、さくらの病気を治してくれた。なら、今回は?

心のどこかで、密かに期待している自分がいる。

翌朝、早々に身支度を整えて家を出る準備をした。昨日、両親に外出すると伝えた際、父はひどく心配し、どうしても同行すると譲らなかった。仕方なく、父に運転手を頼むことにした。道中、子供の頃の思い出話に花を咲かせ...

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