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 何度かやり取りしたことがあり、私には加賀先生の連絡先があったが、伊藤香織は知らなかった。だから、加賀先生とさくらを話させるためには、まず私が加賀先生に連絡を取る必要があった。電話をかけると、先生はちょうど診察中だったらしく、「少し待ってくれ」と言われた。そうして私は、電話越しに先生が患者を診る音をたっぷり三十分も聞かされる羽目になった。

「待たせたな。何の用じゃ?」

 患者を見送ってからようやく電話口に出た加賀先生は、さくらが話したがっていると知るや否や大喜びした。しかし、この頑固な老人は伊藤香織の連絡先を追加することには断固として首を縦に振らなかった。「わしが認める人間しか追加せん。...

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