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まさか村雨霞が折衷案を出してくるとは思わなかった。約束を反故にするわけでも、実行するわけでもなく、なんと浮気相手の尻尾を掴むのを手伝ってほしいと言い出したのだ!

私は眉をひそめ、しばらく考え込んでから口を開いた。

「村雨さん、この件には関わりたくありません。ご存知の通り、私と千葉源は腐っても友達です。こうしてこっそりお会いしているだけでも、すでに私の中ではギリギリのラインなんです。これ以上、千葉源を尾行するような真似はできません」

「契約、もうどうでもよくなったの?」

村雨霞は湯呑みを手に取って一口すすり、すべてを掌の上で転がしているかのような淡々とした口調で言った。

契約を持ち出...

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