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動画の中の坂下直樹は半ば咆哮していた。その鬼気迫る表情を一瞥し、坂本天宇は私に視線を移した。

「大丈夫か?」

私は気にしていないというように首を横に振った。

動画からは田中進の声も聞こえてきた。

「坂下さん、やりたくないわけではありません。ただ、彼らと坂下商事との契約がまだ満了していないのです」

坂下直樹はバンッと机を強く叩いた。

「満了もクソもあるか!製品に問題が出た以上、契約はすでに無効だ。手段は問わん、なんとしてでもあの顧客たちを引き抜け!」

田中進は再び弁明した。

「坂下さん、本当にやりたくないわけではないんです。ここ数日ずっとその件に奔走しています。ですが、うちの会...

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