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少し考えてから、伊藤香織に電話をかけた。電話口から聞こえる彼女の声はひどく不明瞭で、まだ寝ぼけているようだ。

「本当に用事があるんでしょうね。じゃなきゃ、安眠を妨害された私の怒りを買うことになるわよ」

回りくどい言い方はせず、単刀直入に切り出した。

「伊藤香織、あなたから人を二人ほど借りたいの」

「えっ?」伊藤香織は驚いたように声を上げた。「千葉源のところの人たち、もう帰っちゃったの?」

私は首を横に振って否定した。

「ううん、違うの。ただ忙しすぎて人手が足りないだけ。あなたのところの人材なら百パーセント信頼できるし、即戦力になると思って」

会社に内通者がいるかもしれないという...

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