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 「ありがとう」

 私のこの良き親友には、感謝の言葉しか見つからなかった。

 「本当に感謝してるなら、毎日夜食を作ってよ。最近忙しくなるから」伊藤香織はからかうように私の顎を軽く持ち上げ、笑いながら言った。「美人は顔がいいだけじゃなくて、料理の腕も抜群だね。いっそのこと私のお嫁においでよ。私があんたとさくらの面倒を見てあげるから」

 私はわざと考え込むふりをして頷いた。

 「じゃあ、考えておこうかな」

 伊藤香織はそれを聞いてむきになった。

 「ちょっと、即答しないで考えるってどういうこと?」

 私は笑いながら彼女を見つめた。

 「そんなこと言うなら、考えることすらやめちゃう...

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