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目が覚めたのは、すでに昼を回った頃だった。うとうとしながら携帯電話を手に取り画面を確認する。幸いにも、会社からは急ぎの連絡は入っていなかった。ただ、江川金生からの着信履歴が一件残っていた。折り返してみると、どうやら彼は昨夜の酒で完全に記憶が飛んでしまっているらしい。何も覚えていないから昨日の状況を教えてほしい、もし自分が何か羽目を外した振る舞いをしていたなら、どうか水に流してほしい、というのが電話の用件だった。

彼がこれほどまでに低姿勢なのを見ると、西嶺の破綻騒動がいかに深刻な影響を及ぼしたかが痛いほど伝わってくる。坂下商事と再び取引できる今回の機会は、彼にとって絶対に失敗が許されない、起...

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