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半信半疑で契約書を手に取り、最初のページをめくった。内容を目にした瞬間、私の顔には様々な感情が浮かび上がったことだろう。その時の胸の高鳴りと、込み上げてくる笑いをどう表現していいか分からないほどだった。

「どうしたの?」

私の奇妙な様子を見て、坂下歩美が尋ねてきた。

「自分がサインした契約書も読めなくなっちゃった? 私が代わりに読んであげようか」

私は首を横に振り、微笑みを浮かべて言った。

「いいえ、私が読んであげるわ」

こほんと咳払いをして、契約書の内容を読み上げ始めた。

「私、坂下直樹は浮気相手を作り、あろうことか実の妹とも肉体関係を持ちました。さらに坂下商事の資金を横領し...

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