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「よし」

私はパンッと手を叩き、皆をぐるりと見渡して笑みを浮かべた。

「茶番はここまで。みんな気持ちを切り替えて、仕事に戻りましょう」

みんなはもっともらしく仕事をするふりをし始めた。ただ、新人の野原天楽だけは経験不足のせいか、その演技もどこかぎこちない。彼は時折こちらをちらちらと見上げてきており、私が離れたらすぐに事の顛末を聞き出そうと待ち構えているのが見え見えだった。若い子の好奇心は旺盛だなと、私は思わず感心してしまった。

もっとも、今の私は気分が良かったので、そんな些細なことを咎める気にはなれなかった。ひとしきり笑った後、私はあの契約書の件について考え始めた。今回はとんだ勘違い...

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