第61章

私は愛想よく笑みを浮かべて言った。

「あの、千葉社長に取り次いでいただくことはできませんか? あるいは、プロダクトマネージャーの方でも構いません。『旧友が訪ねてきた』とお伝えいただければ結構ですので」

 警備員はうんざりした様子で、私を追い払おうとする。

「お前らみたいな営業は、もう少しマシな嘘をつけないのかね。さっさと帰れ。でないと警備課を呼ぶぞ」

 かつてマーケティング部でならした古株として、私は最終手段――つまり、金で道を切り開くことにした。

 再び警備室へ近づき、愛想よく声をかける。相手は取り付く島もなく「さっさと失せろ」という態度だったが、私の手にある赤い紙幣が目に入った...

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