第74章

試算なら、とうの昔に済ませてある。東洋天宇の案件さえ獲得できれば、少なくとも初年度の赤字は回避できるはずだ。それこそが、私がここへ来て千葉源と交渉のテーブルに着けた最大の根拠だった。

 商談は終始和やかに進み、言葉の端々から千葉源の感謝の念すら感じ取れた。恐らく今回の提携は、彼にとっても真に「ウィンウィン」な展開なのだろう。もっとも、具体的なメリットが何なのかは、彼と坂本天宇の間で交わされた密約によるものかもしれないけれど。

 今回の件がこれほど順調に運んだのは、間違いなく坂本天宇のおかげだということは痛いほど分かっている。だが、彼が何も言わない以上、私からも深くは尋ねなかった。これ以上...

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