第82章

 通話を終えるや否や、霧雨みよの携帯電話から着金を知らせる通知音が鳴り響いた。

 霧雨みよは満面の笑みですぐさま金額を確認したが、そこに表示された数字が十万しかないのを見ると、とたんに不満げな顔になり、小声でぼそりと呟く。

「ちぇっ、ケチね」

 私は坂本天宇と顔を見合わせた。

 あまりのことに、私の常識や価値観といったものが、霧雨みよによって粉々に打ち砕かれたような気分だ。今この瞬間、私は確信した。名は体を表すというが、霧雨みよ、彼女は本物のバカだ。

 懐が温まった霧雨みよは、実に気前よく私に言った。

「まだ命の恩人にお礼もしてなかったわね。どう? これから一杯奢るわよ」

 私...

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