第87章

「高橋さん?」

 いつまで経っても返事をしない私を不審に思ったのか、霧雨みよがおずおずと私の服の裾を掴んで揺すった。

 私は瞬きをして我に返り、少し考え込んでから口を開く。

「彼が今のあなたの姿を嫌がってるって言ってたじゃない? だから、さっき言ってた体位の話は……怪我が治ってから彼に提案してみたらどうかしら。焦る必要はないわ」

 それを聞くや否や、霧雨みよはパッと表情を輝かせた。まだ腫れ上がっている自分の頬を撫でながら、誇らしげに言う。

「そうですよね! 私が美しさを取り戻せば、彼だってイチコロですもんね。高橋さんの言う通りです、全部言うこと聞きます!」

 私は微笑んで頷き、そ...

ログインして続きを読む