第106章

三十分後、高波直俊は高波明を連れて病院の救急治療室に駆けつけた。

三原由佳は頭に包帯を巻かれ、三原由美が車椅子で救急治療室から押し出し、これから頭部のMRI検査に連れて行くところだった。

高波直俊を見ると、三原由佳は感情が激しく高ぶった。

「あなた何しに来たの?あなたなんて見たくない、帰って、あなたなんか悪い人、大嫌い……」

高波直俊は彼女に嫌われたくなくて、しゃがみ込み、手を伸ばして彼女の頭の包帯に触れようとしたが、三原由佳に手を払いのけられた。「触らないで、子供をいじめるだけの悪い人!」

高波直俊は一瞬喉が詰まり、心が酸っぱく痛んだ。

「由佳、俺はお前...

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