第178章

携帯の着信音が鳴るまで、その場の緊張感は破られなかった。

高波直俊は暗い表情で着信表示を一瞥すると、そのままスマホを太ももの上に伏せた。ため息をつき、シートベルトを外すと三原由美に近づき、彼女の肩をつかみ、真剣な眼差しで見つめて諦めたように言った。「由美、ごめん。さっきは言いすぎたと認める。でも、俺がお前のことをあまりにも大事に思ってるから、お前と一条俊太が親しくしてるのを見たくなかったんだ」

大事に思ってる？

三原由美は初めて彼の口からそんな言葉を聞いた。

胸の中の怒りは瞬く間に半分以上消え、知らず知らずのうちに口調も柔らかくなっていた。「私と一条俊太は幼い頃から一緒に育ったの。坪...