第77章

三原由美は高波直俊と松本さんが何を話し合ったのか知らなかったが、その結果はすぐに坪田真耶の復職という知らせとなって届いた。

心療内科の医者たちのグループではこの件について白熱した議論が交わされていた。

三原由美の胸の内は冷え切っていた。

彼女は思いもしなかった、高波直俊が本当に妥協するとは。それなら自分が受けたつらさは何だったのか?明が受けた傷は何だったのか?

やはり、高波直俊は坪田真耶の前では、全く原則など持ち合わせていなかったのだ。

三原由美は鬱憤を抱えながらも、高波明の手術前の検査伝票を再度作成し、三日後に再手術を行う準備を進めていた。

そのとき、坪田真耶がふんぞり返ってオ...

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