第28章 そんなに人に相手を紹介するのが好き

「小学校の時、年上の子たちが小さい子をいじめてたけど、希姉を呼んで私を守ってくれたよね」山本清語はまくし立てるように話し続けた。「希姉が来る前は男子に階段から突き落とされたりしてたけど、希姉が来てからは誰にもいじめられなくなったの」

山本お父さんは急に思い出したような顔をした。「ああ、希ちゃんのことか!」

そして山本希に尋ねた。「お姉さん、名前は何ていうの?」

事前に打ち合わせたのと全く違う展開に、山本希は軽く咳払いをした。「山本おじさん、私です。山本希です」

「山本おじさん」という呼びかけに、山本お父さんは胸が詰まる思いだった。

山本清語の興奮ぶりは、とても演技とは思えなかった。...

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