第14章

彼が気にしているのは鈴木美由紀じゃない。涼の母親――あの女のほうだ。

何度も何度も騒ぎを起こされて、正直、我慢の限界はとっくに過ぎている。けれど川人のことを思い出すたび、鈴木美由紀に対してだけは、なぜか際限なく堪えてしまう。

川人は彼女が好きだった。涼は彼女の子どもだ。

弟に負った借りは、結局その二人に返すしかない。

橋野悠希は寝室の中をひっくり返したが、目当てのものは見つからない。三年間、この別荘で彼女がよく動いていた場所を必死に思い返す。

そっと寝室の扉を押し開け、渡り廊下を抜けて書斎へ向かうつもりだった。

この時間なら、執事の羽村はもう寝ているはず――。

ところが扉を開け...

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